OECD雇用アウトルック2009より

―― http://www.oecdtokyo.org/theme/emp/2009/20090916employmentoutlook.html ――

日本は世界的な景気低迷期に大規模な雇用喪失を経験した。
の失率は過去最高の5.7%に達したが、これは2007年末時点から失率が2ポイントアップし、新たに130万人が失したことを味する。
最も深刻な影響を受けたのは製造および建設部門である。日本の労働市場が弱まっていることは、労働力の減少が加速していることでも明らかである。
2004年以降労働参加率は堅調に伸び続けてきたが、2008年と2009年では約74%に留まっている。若年層(15〜24才)の労働参加率は、2009年7時点で2年前より約10%近く減少し、35万人減となっている。


日本の景気刺激策が雇用に与えた影響は特に大きい
これは、減税や政府支出(2008年のGDP比で4.7%:OECD諸国中では、韓国、米国、オーストラリアについで大きい)といった景気刺激対策パッケージが比較的大規模なものであったこと、ならびに、雇用に対する財政乗数が比較的高いことによるものである。 OECD雇用アウトルック2009では、2010年の日本の雇用の減少率は、財政政策が何も講じられなかった場合よりも1.3%から2.0%縮小すると見ている。


日本は、職を失った者を再び就させるために重要な手段を講じた
者に対する職探し支援や他の再就職サービスへの年間支出額は、経済危機を受けてほぼ倍増した。新たな取り組みとしては次のものが挙げられる。地方政府レベルでの職の創出のための新たな臨時基金、雇用助成金の受給資格拡大・基準の緩和、高齢労働者や非正規雇用の若者、就者、小規模事者を含む様々な層を対象とした職体験プログラム、ハローワークの増員である。


所謂失われた10年1990年代以降、若年層は労働市場で安定した立場を得ることにおいて多大な困に直面しており、この状況は現在の景気低迷により悪化している。
15〜24才の失率は、過去12ヶで2.4ポイント上昇し、2009年9に9.9%に達した。OECD雇用アウトルック2009の分析によると、OECD諸国全体にわたり、若年層の雇用は、それより年長の層と比べ、景気変動に影響される度合いが2倍以上高い。中等あるいは高等教育修了資格を持たずに労働市場に参入しようとする若年層は特に弱い立場に置かれている。従って、若年層に学の継続や職訓練への参加を奨励する方策は、現在学校を卒した者が新たな失われた世代になることを防ぐために、極めて重要である。


1980年代以降、日本では非正規労働者の割合が増加し続けているが、労働市場状況が悪化するにつれ、その福祉への懸が高まっている。
非正規職−主にパート職であるが、短期、日雇い、有期雇用契約労働者も含む−に就いている人の割合は、1985年の16%から2008年には全体の3分の1を上回るまでになった。景気低迷期においては、非正規労働者は失職に対してより脆弱な立場に置かれている。短期および日雇い労働者の雇用は2009年7時点で、12ヶ前から3.6%減少している。他方、正規雇用については1.1%の減少となっている。日本の非正規労働者の多くは失保険に入っていないため、失すると多大な経済的困に直面する可能がある。しかしながら、日本は経済危機の影響を受けた非正規労働者を救済するために幾つかの歓迎すべき政策手段を講じている。それは、非正規労働者が失給付を受給しやすくすること、より多くの非正規労働者に対する短期雇用支援適用の拡大、失保険に入っていない求職者の職訓練参加を可能にする新しい形の所得支援などである。


非正規労働者−正規労働者と比較して労働時間が短く、時給が安い−の割合が比較的高いことは、日本で労働者の貧困が顕著になっていることに繋がっている。
OECDの分析によると、現在の景気低迷以前から、ワーキングプアは日本の貧困層の80%以上を占めていた。OECD諸国平均ではその割合は63%である。日本では、職に就いている者が最低一人以上いる家計に属する個人の約11%が貧困にある。これは、OECD諸国中トルコ、メキシコ、ポーランド、米国に次いで5番目に高い。日本の租税および所得再分配制度は、失状態にある家計の貧困削減という点では比較的優れており、社会保障給付は子供のいる家庭を貧困から救い出すために充分であると言える。しかしながら、労働者の貧困緩和には殆ど効果をあげていない。


テレビ等で「失率・貧困率」について報道されています。
「失率」が高くなれば、当然「貧困率」も高くなりますね。
日本の「失率」は、ヨーロッパ諸国と比べると低い方なのだそうですが、「貧困率」となるとアメリカに次いで高いとか。
日本では、働いても生活が成り立たない人が多いということなのですね。
「現在の景気低迷以前から、ワーキングプアは日本の貧困層の80%以上を占めていた」とあるので、もともと日本は労働者に厳しい社会構造になっているといえます。
どちらかというと「アメリカ型経済国家」なんですかね?


自公政権が推し進めてきた、雇用形態(派遣労働)も「貧困率」を悪化させてきたのではないかといます。
国も、いろいろ対策を講じてはいますが、あまり良くなっているとはいえません。


一概には言えませんが、そう考えると、日本は中小企大国ですから、大企よりの自民党が野党になったことは良かったのかもしれません。
公明党が、もっと自民政治に切り込んで「公明色」を出せればよかったのかも?


まあ、専門家ではないので、私にはしすぎます……。