人間革命12巻より 最終回
引き続き、学んでいきます。
寂光の章より
戸田城聖の衰弱は、日に日に激しくなっていった。看護にあたっていた婦人部の幹部は、彼の容体の変化に胸を痛め、医師の診察を仰ぐことにした。
3月24日、東京から木田医師がやってきた。戸田は、医師を呼んだことを知ると怒り出した。しかし、木田の顔を見ると、黙って身を委ねた。一通り診察が終わると、戸田は毅然として言った。
「では、結論を聞こうか」
医師は、あまりの平静さに驚いて、戸田を見た。
「御病気はすべて治っております。ただ、お体が著しく衰弱しています。重湯でも、スープでも結構ですから、しっかりお召あがりになって下さい。力がつきます」
戸田は思った。
――どこも悪くないということは、病魔は完全に克服したことになる。すると、あとは私自身の使命の問題だ。しかし、私は、念願の75万世帯を達成し、大講堂も寄進申し上げた。総登山の盛儀も、あと1週間で終わろうとしている。いま、1人の人間として果たすべき使命をことごとく果たし終えたといえる。
木田医師が帰っていくと、戸田は満ち足りた思いで、枕の上から窓外に広がる春の大空を仰いだ。彼には、太陽の光をいっぱいに吸いとり、青く澄み渡った空がことのほか美しく、まばゆく輝いて見えた。
空を眺めながら、戸田は大宇宙に吸い込まれていくような思いがした。彼には、いま死というものが極めて身近にあった、永遠に身を委ねつつある自己を感じていた。そして、生死が不二であることを、心から実感することができた。彼は死を凝視しながら、なんの恐れもなかった。
しばらくすると、秘書部長の泉田ためがやってきた。
「先生、何か、お召あがりいただけませんでしょうか」
「いや、いらぬ。それより、ここに座りなさい」
戸田に言われて、泉田は、枕元に正座した。
「私が死んだらな……」
戸田がこう言いかけると、泉田は眼をうるませた。
「お亡くなりになるなんて……先生、そんなこと、おっしゃらないでください」
「まァ、聞きなさい。人間誰でもいつか死ぬものだ。私は死んだら、大聖人のところへ還って御挨拶する。そこで、叱られるのか褒められるのかはわからんが、7日たてばまた戻ってくる。もっとも、宇宙には地球のような星がたくさんあるから、大聖人にどこかの星で広宣流布せよ、と言われれば、そこに生まれることになるだろう。ともかく7日間は、私の遺骸は焼かずに、そのままにしておきなさい。みんな、私の死相をよく見ておくのだ。ほんとうの成仏の相とはどういうものか教えておきたいのだよ」
泉田ためは、涙で赤らんだ眼をしばたたきながら頷いた。この言葉も、戸田城聖の遺言となった。
戸田先生は、病魔を完全に克服され、全ての願業を達成された。
ということです。
人間革命を通して学ぶかぎりでは、肝硬変からくる心衰弱で亡くなられたのではないですね。
闘病生活を通して、すべてのご病気を克服されたのです。
しかし、そのために著しく体が衰弱され、結果「急性心衰弱」で亡くなられた。
したがって、熊田氏が書かれていた。
「戸田さんは、晩年は水代わりに酒を飲み、肝硬変からくる急性心衰弱で若くして亡くなりました」
というのは、少し違います。
今回は、上記の件の検証ということで、内容が特化してしまいましたが、「人間革命」を読み返す、いいきっかけになりました。
ということで、熊田氏には「感謝」申し上げます。
皆さまも、おつきあいありがとうございました。
このブログは私が打ち込める限り、続けていきますので、これからもよろしくお願いします。